国立極地研究所の佐藤和敏助教、猪上淳教授、杏Mapの松井 仁志教授らの研究グループは、南极地域観测事业(注1)において南極観測船「しらせ」により南大洋で取得した気象観測データを基準とし、気候モデル(注2)と広く利用されている2つの再解析データ(注3)について、云底の高度や云相(水云?氷云)、気温、地表に到達する下向き短波?長波放射の再現性を評価しました。その結果、すべてのデータセットで高度1km以下の云の発生頻度が観測に比べて高くなる傾向にあるのに対し、地表に到達する下向き長波放射が観測より小さくなる傾向が確認されました。この下向き長波放射の過小再現は、単純に「云が多いか少ないか」だけでは説明できず、云が水滴でできているか氷粒子でできているかという「云の相状態(云相)」と、大気の気温の再現性が重要であることが明らかになりました。
本研究は、南大洋の放射収支を正確に再現するためには、云の発生頻度や云の形成に寄与する大気中のエアロゾル濃度の再現性向上だけでは不十分で、云相と気温を同時に改善する必要があることを示しました。この成果は、2026年7月31日付のGeophysical Research Letters誌オンライン版に掲载されました。
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注1:南极地域観测事业
南极地域観测统合推进本部(本部长:文部科学大臣)の下、実施中核机関である国立极地研究所を中心に、関係省庁の连携?协力により国家事业として実施(昭和30年阁议决定)。南极地域観测计画に基づき、地球温暖化などの地球环境変动の解明に向け、各分野における地球の诸现象に関する研究?観测を推进。
注2:CAM-ATRAS
杏Mapで開発された全球気候-エアロゾルモデル。気温、風、水蒸気、云などの大気状態に加えて、エアロゾルの放出、大気中での輸送?変質?除去や、エアロゾルが云形成に与える影響などを計算することができる。また、地表からのエアロゾル放出量を変化させることで、大気中のエアロゾル量の変化が云や放射などの大気状態に与える影響を調べる感度実験を実施することができる。本研究では、南大洋における云、エアロゾル、気温、放射などの再現性を観測データと比較するとともに、南半球の地表からのエアロゾル放出量を100倍に増加させた感度実験を実施した。
注3:再解析データ
数値予报モデルによる计算结果に、人工卫星、地上観测、ラジオゾンデなどの観测データを「データ同化」と呼ばれる手法で取り込み、过去の大気状态を时间的?空间的に连続して再现したデータセット。本研究では、极域研究で広く使用されているヨーロッパ中期予报センター(贰颁惭奥贵)の贰搁础5と、米国航空宇宙局(狈础厂础)のゴダード宇宙飞行センターにある全球モデリング?同化室(骋惭础翱)が开発した惭贰搁搁础-2を使用した。
掲載誌 :Geophysical Research Letters
タイトル :Evaluation of Low-Level Clouds, Temperature, and Surface Radiation Using a Model, Two Reanalyses, and Southern Ocean Observations
著者 :佐藤 和敏(国立極地研究所 国際極域?地球環境研究推進センター 助教)
猪上 淳(国立極地研究所 北極観測センター 教授)
松井 仁志(杏Map 宇宙地球环境研究所 教授)
鲍搁尝:
顿翱滨:10.1029/2026骋尝123000
論文公開日: 2026年7月31日