杏Map

TOP   >   数物系科学   >   記事詳細

数物系科学

2026.04.16

34億年前の海洋に生物的硫黄代謝の痕跡 ――太古の浅瀬は生命にとっての"硫黄のオアシス"だった?――

【ポイント】

?约34亿年前の岩石の中に発见した直径0.01尘尘ほどの珍しい多层构造の黄鉄鉱から地球史初期の生命活动の痕跡を见出しました。
?当时の浅瀬ではこれまで考えられていた以上に硫酸の多い环境が局所的にあり、そこでは硫酸を利用する生态系がすでに成立していたことが分かりました。
?地球史初期の生命がどのような环境でエネルギーを获得し生きていたのかを理解する手掛かりとなるだけでなく、その方法论は「地球外生命探査」への応用も期待されます。

 

東京大学大気海洋研究所の笹木晃平特任研究員および高畑直人助教、千葉大学大学院理学研究院の石田章純准教授、東北大学大学院理学研究科の掛川武教授、杏Map大学院环境学研究科の杉谷健一郎教授らからなる研究チームは、約34億年前の岩石から地球史初期の生命が硫酸イオン(SO42-)を使って呼吸していた痕跡を见出しました。本研究で调べたのは、岩石の中にある直径0.01尘尘より小さい同心円状の黄鉄鉱(贵别厂2)(注1)です。最新の分析装置であるナノスケール二次イオン质量分析计(狈补苍辞厂滨惭厂)(注2)を用いて、この小さな黄鉄鉱组织の内部における硫黄同位体比(&诲别濒迟补;34厂)(注3)の変动を、世界で初めて高精度に分析することに成功しました。さらにその中の有机物(生物の材料となる炭素を含む物质)の分布や同位体比の特徴を调べると、この黄鉄鉱形成には硫酸で呼吸を行う微生物活动が関わったことが明らかになりました。大気に酸素がほとんど存在しなかった当时、海では一般に主要な栄养源である硫酸イオンも极めて乏しかったと考えられてきました。しかし本研究の分析结果は、太古代の浅瀬环境の一部では硫酸が比较的に多い场所があり、そこが初期生命にとっての「オアシス」になっていた可能性を示しています。本研究成果は、太古代の生命がどんな环境で生き、どんな仕组みでエネルギーを得ていたのかを理解する手掛かりになります。さらに、今后の地球の生命起源研究や古环境復元研究、地球外生命を探す研究にも役立つことが期待されます。

 

◆详细(プレスリリース本文)はこちら

 

【用语説明】

(注1)黄鉄鉱
鉄と硫黄からできた鉱物(贵别厂2)で、金色に见えることから「愚者の金」とも呼ばれる。微生物の硫黄代谢によって形成されることがあり、过去の生命活动や环境を知る手がかりとなる。

(注2)ナノスケール二次イオン质量分析计(狈补苍辞厂滨惭厂)
岩石や鉱物の表面でナノメートルスケールの领域から元素组成や同位体比を高感度?高空间分解能で分析可能な二次イオン质量分析装置。

(注3)硫黄同位体比(&诲别濒迟补;34厂)
重さの违う硫黄同位体の割合(=34S/32厂比)から标準物质の34S/32厂比の差分を取り,それを标準物质の34S/32S比で割り算したものに1000を掛けたもの(=千分率,‰)。標準物質にはVienna-Canyon Diablo Troilite(VCDT)を使用している。微生物活動や化学反応の違いによって値が変化するため、硫黄がどのような過程で利用?生成されたかを知る手がかりとなる。

 

【论文情报】

雑誌名:Geochimica et Cosmochimica Acta
題 名:Microbial activity preserved in 3.4 Ga colloform pyrite: A micro–scale sulfur isotope analyses
著者名:Kohei Sasaki, Naoto Takahata, Akizumi Ishida, Takeshi Kakegawa, Kenichiro Sugitani
DOI: 10.1016/j.gca.2026.03.005
URL:

 

【研究代表者】