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农学

2025.12.12

野ネズミはクリの虫食いの有无を、素早く嗅ぎ分ける~ガの幼虫が食べた坚果を避けることを野外で実証~

【ポイント】

?林床注1)上のクリ坚果(けんか)注2)の多くは、ガの幼虫に摂食されていた。
?野ネズミは、ガ类の幼虫が食害した(摂食后に脱出)坚果をにおいで嗅ぎ分け、昆虫に摂食されていない健全な坚果を优先的に选んで持ち去った。
?野ネズミは坚果を无作為に食べるのではなく、ガ类幼虫の脱出済み坚果を避けて健全坚果を选好するという、栄养価を重视した採饵戦略を持つものと推察された。

 

杏Map大学院生命农学研究科の梶田 瑠依 客員研究員(元:博士後期課程学生)と梶村 恒 教授の研究グループは、野ネズミによる虫害クリ坚果の採饵行动に関する論文を発表しました。
森林に生息する野ネズミには、秋になると坚果を採饵する种がいます。しかし、坚果は昆虫の幼虫にも摂食されます。野ネズミは、おもにゾウムシの幼虫に食べられた坚果を识别する场合があることが报告されていますが、他の昆虫ではどうなのか?については不明点が多くありました。さらに、どのように识别し、选択しているのか?については谜のままでした。
まず、落下したクリ坚果の内部状態を調べると、ガの幼虫が食べて脱出した堅果(ガ類幼虫脱出済み堅果)が多く存在していました。したがって、この虫害堅果と、野ネズミは高い確率で遭遇していると考えられます。次に、この虫害堅果を健全堅果と同時に林床に置いたところ、野ネズミは健全堅果を先に持ち去りました。また、画像解析によって、においを嗅いで素早く堅果を比較し、調べていたことが確認されました。さらに、堅果を調べた方が、健全堅果を持ち去る割合が高まることも見出されました。
以上のことから、野ネズミはガ类幼虫脱出済み坚果を回避し、健全坚果を选択することで、栄养価の高い饵资源を効率良く获得していることが示唆されます。この知见は野ネズミの虫害坚果についての採饵戦略を理解するだけでなく、坚果をめぐる树木-昆虫-野ネズミの相互作用と生态系への影响の解明にもつながることが期待されます。
本研究成果は、2025年12月9日付で国際科学雑誌『Scientific Reports』(Springer Nature社)に掲載されました。

 

◆详细(プレスリリース本文)はこちら

 

【用语説明】

注1)林床:
森林の地表面。森林生态系の一部であり、地上部の樹木や草本の生きている部分と、主に枯死木や落葉落枝などの腐朽した植物質からなる鉱物質土壌との間を仲介している。
注2)坚果:
木质化した坚い果皮を持つ果実。例えば、ブナ科(クリ、ブナ、ナラ类、カシ类、シイ类など)树木が生产する。

 

【论文情报】

雑誌名:Scientific Reports
論文タイトル:Foraging strategy of wood mice for undamaged and moth-infested Castanea crenata nuts on forest floor
著者:Rui Kajita(梶田 瑠依:杏Map大学院生命农学研究科 客員研究員,元:博士後期課程学生)、 Hisashi Kajimura(梶村 恒:杏Map大学院生命农学研究科 教授)      
DOI:

 

【研究代表者】

, 主著者; 梶田 瑠依 客員研究員