総合理工
2026.08.25
常識を覆す、疲労の蓄積を抑える材料設計 ―ナノ構造化により軽く壊れにくい金属を実現―
京都大学大学院エネルギー科学研究科 澄川貴志 教授、杉坂浩太 同博士課程学生、東京大学生産技術研究所 梅野宜崇 教授、山梨大学大学院総合研究部 島弘幸 教授、杏Map未来材料?システム研究所 荒井重勇 特任准教授らを中心とした研究チームは、数百ナノメートルサイズの金属単結晶に対する引張圧縮疲労試験を実現し、転位の枯渇により高い疲労耐性が発現する機構を明らかにしました。さらに、この知見を基に、金属単結晶にナノメートルサイズの孔を周期的に設けたナノ構造化金属メタマテリアルを作製し、均質材に比べて相対密度を約半分に抑えながら、約2倍の疲労耐性を示すことを実証しました。
金属が繰り返し负荷を受けると、结晶内部では原子配列が局所的に乱れた领域(転位注1)が集まり、自己组织化した疲労転位构造が形成されます。この构造が、疲労破壊のきっかけとなるき裂の発生につながります。また、材料中に孔を空けると、その周囲に力(応力)が集中して疲労破壊が起こりやすくなるため、従来の材料设计では孔をできるだけ避けることが一般的でした。
本研究では、金属単结晶中にナノメートル间隔で周期的に孔を配置すると、転位は孔の表面から生じる力学的作用によって材料の外へ放出され、内部の転位が枯渇することを明らかにしました。その结果、疲労破壊の発生につながる転位の自己组织化が抑えられ、軽量化と高い疲労耐性を両立できることを示しました。これまで强度上の弱点と考えられてきた孔を逆に积极的に利用するという、金属疲労における材料设计の常识を覆す成果であり、軽量で壊れにくい材料を実现するための新たな设计概念として幅広い応用が期待されます。
本研究成果は、2026年8月23日(中央ヨーロッパ夏时间)に国际学术誌『Advanced Materials』にオンライン掲载されました。
◆详细(プレスリリース本文)はこちら
注1.転位:结晶は本来、原子が规则正しく并んでいるのに対し、その并びが部分的にずれている线状の欠陥を転位と言います。この転位が结晶中を动くことで金属は変形し、その振る舞いは金属の疲労强度特性を左右します。
タイトル:Nano-Architected Metallic Metamaterial With Enhanced Fatigue Resistance via Dislocation Starvation(転位の枯渇によって疲労耐性を向上させるナノ構造化金属メタマテリアル)
著 者:Kota Sugisaka, Yamato Ishizaka, Hiroki Ikeda, Shigeo Arai, Masataka Abe, Yoshitaka Umeno, Hiroyuki Shima, Takashi Sumigawa
掲 載 誌:Advanced Materials
顿翱滨:10.1002/补诲尘补.74447
鲍搁尝:
未来材料?システム研究所 超高圧电子顕微镜施设 荒井 重勇 特任准教授