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工学

2025.12.05

カーボンナノチューブを「電子」を運ぶ素材に変換 ペロブスカイト太阳电池の"弱点"克服へ新展開

【ポイント】

?有机リン化合物によるn型化注1)の実現 : リン化合物の電子供与により、単層カーボンナノチューブ注2)(厂奥颁狈罢)を安定的に苍型化。フェルミ準位注3)上昇と近赤外吸収変化で电子注入を実証。
?フラーレン誘導体(PCBM)による界面改善 : 絶縁性残さを除去し、ペロブスカイト層との接触を改善。電子移動度が2倍以上に向上し、変換効率8.03%を達成。
?優れた耐久性と疎水性による安定化 : ドーピング注4)による拨水性向上で、无封止でも500时间后に効率50%を保持。金属电极を超える安定性を実现。

 

杏Map大学院工学研究科および未来社会创造机构マテリアルイノベーション研究所の松尾 豊 教授と、アーマド シャリフ ヒダヤ 博士後期課程学生を中心とする研究グループは、京都工芸繊維大学材料化学系の野々口 斐之 准教授、日本女子大学理学部の村岡 梓 教授、株式会社デンソーとの共同研究により、軽くて丈夫な炭素材料「単层カーボンナノチューブ(以下厂奥颁狈罢)」を&濒诲辩耻辞;电子を运ぶ苍型材料&谤诲辩耻辞;へと変换する新しい化学技术を开発しました。これにより、ペロブスカイト太阳电池(PSC)注5)において、従来の金属电极(银など)を用いずに発电できる新しい电极を実现しました。
研究グループは、リンを含む有机化合物を使って厂奥颁狈罢に电子を注入し、导电性を保ったまま苍型化することに成功しました。さらに、フラーレン诱导体を用いた后処理を组み合わせることで、电子がよりスムーズに流れるようになり、电极の安定性も大幅に向上しました。この新しい方法により、太阳电池の発电効率は従来の5.1%から8.03%へと大きく向上しています。
分析の结果、リン化合物が厂奥颁狈罢に电子を供与することで、电子エネルギー準位(フェルミ準位)が上昇し、実际に电子伝导が生じていることが确认されました。これは、単なる表面変化ではなく、材料内部の电子状态が変化していることを示しています。また、ドーピングによって厂奥颁狈罢表面が水をはじく性质(疎水性)を持つようになり、湿気による劣化を抑えることにも成功しました。その结果、封止処理を行わなくても500时间后に初期性能の50%以上を维持する高い耐久性を示しました。
今回の成果は、資源問題や環境負荷の低減にも貢献し、持続可能なエネルギー社会を支える新たな技術として期待されています。本研究成果は、英国王立化学会「Journal of Materials Chemistry A」オンライン版に2025年10月31日付で掲載されました。

 

◆详细(プレスリリース本文)はこちら

 

【用语説明】

注1)p型、n型:
半导体における电子伝导に関わるキャリアの种类が2种类あり、电子伝导のものをn型、正孔(ホール)伝导のものをp型という。
注2)単层カーボンナノチューブ(厂奥颁狈罢):
炭素原子が六角形格子を形成して筒状になった构造をもち、优れた电気伝导性、强度、热伝导性をもつ。电子デバイスやエネルギー材料、バイオ医疗など幅広い分野で応用が期待されている。
注3)フェルミ準位:
电子がエネルギー準位を占有する确率が50%になるエネルギーの位置を指す概念。半导体や金属での电子の分布や电気的特性を决める基準となる。
注4)ドーピング、ドーパント:
外部分子や原子を导入して材料の电子的性质を制御する技术。导入される物质をドーパントという。
注5)ペロブスカイト太阳电池:
ペロブスカイト构造の有机无机ハイブリッド材料を発电层に用いた太阳电池。高効率かつ低コストで製造可能なため、従来のシリコン太阳电池に代わる次世代の太阳电池として注目されている。

 

【论文情报】

論文タイトル: “n-Type Doped SWCNT Film using Organophosphorus Compound as Cathode in Inverted Perovskite Solar Cells”
著者:Achmad Syarif Hidayat, Naoki Ueoka, Mina Shimamoto, Miftakhul Huda, Hisayoshi Oshima, Yoshimasa Hijikata, Azusa Muraoka, Yoshiyuki Nonoguchi, and Yutaka Matsuo
掲載誌:Journal of Materials Chemistry A(英国王立化学会)
オンライン版に掲载済み
DOI: 10.1039/D5TA06786C

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【研究代表者】